世界文化遺産-4
白川郷・五箇山の合掌造り集落 

岐阜県と富山県にまたがる「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、合掌造り家屋が険しい山間部の豪雪に耐え養蚕に利用するために工夫された独
特な特徴をもつ建築物であること、その集落の自然景観が見事であることが評価され、文化遺産として登録されました 。

主な登録物件は、岐阜県白川村荻町集落の59棟、富山県南栃市菅沼集落と相倉集落の29棟、江戸時代末期から明治時代にかけて作られた
ものですが、古いものは17世紀に遡るといわれています。
登録地域は、荻町集落(約45.6万u)、菅沼集落(約4.4万u)、相倉集落(約18万u)とその周辺の緩衝地帯。 

五箇山(ごかやま)とは、庄川沿いにある5つの谷間(赤尾谷、上梨、下梨、小谷、利賀谷)の総称で、「五ヶ谷間」を音読して「ごかやま」と呼ぶよう
になったといわれています。

この地域では、戦後のダム建設ブームで多くの合掌造り集落がダム底に水没、昭和40年代の高度経済成長時代には合掌造りが村外に売却さ
れたり近代的家屋に立て替えられました。
開発優先の流れに対し、白川村は廃屋になった合掌造り家屋を移築保存、昭和42年から「白川郷合掌村」として公開してきました。さらに、荻町
住民有志は昭和46年(1971年)「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」を結成、合掌造り家屋の保存のため「売らない、貸さない、壊さない」と
いう市民憲章を制定し合掌造り家屋と景観を保存してきました。

こうした白川村と村民有志の皆さんの並々ならぬ努力によって、白川郷合掌造り集落は、昭和51年(1976年)に国の「重要伝統的建造物保存」
に選定され、平成7年(1995年)のユネスコ世界遺産への登録につながりました。
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■登録された年月日 
 1995年12月 
■該当する登録基準 
 ・ 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積または景観の顕著な例(文化遺産登録基準4) 
 ・ 特に、回復困難な変化の影響で損傷されやすい状態にある場合における、ある文化(または、複数の文化)を代表する伝統的集落、または土地
利用の顕著な例(文化遺産登録基準5) 

白川郷・萩町集落
庄川右岸の三日月形をした段丘にある白川村荻町集落。集落の全域と山麓の一部が重要伝統的建造物群保存地区として歴史的景観が維持され、合掌造り家屋59棟をはじめ寺院本堂、庫裏、ハサ小屋、板倉などの伝統的建物とともに寺社の社業、水路などが保存すべきものとして特定されています。
合掌造り家屋は、強風をまともに受けないよう南北に並んで建てられ、茅葺屋根は東側と西側を向いていて太陽が均等に当たるようになっています。写真は、荻町の北側にある荻町城址の展望台から集落です。
白川郷・和田家住宅
由緒ある旧家・和田家住宅で、江戸時代末期の建築で荻町集落を代表する最大で最古の合掌造り民家です。主屋の周りには消雪溝や池、防風林が配置され、水路が流れ、自給自足で生活をまかなってきた水田があります。現在も住宅として使われていますが、平成9年(1997年)から一般に公開され当時の暮らしぶりを見学できるようになっています。
 
 
白川郷・明善寺庫裏
明善寺(みょうぜんじ)周辺の風景、写真の右奥の建物が明善寺庫裏(くり)で明善寺郷土館として公開されています。本堂はその奥にあります。合掌造りの屋根は、本を開いて伏せたようになっていて正面から見ると正三角形になっています。屋根の角度は60度の急勾配で雪が降っても自重で落ちるように工夫されています。明善寺庫裡も合掌造りで5層、内部の3〜5層は養蚕の作業場になっていました。生活をささえるための養蚕は明善寺でも行われ、村民に働く場を提供していたようです。
白川郷・長瀬家住宅
明治23年に造られた長瀬家住宅、荻町集落を代表する合掌造り民家で一般公開されています。長さ11mもの柱(合掌柱)が5階建の合掌造りを貫いています。250年続く長瀬家は初代から三代目当主までが医者だったことから江戸時代の医療具が残されています。写真は前庭から撮影した長瀬家住宅、合掌造りの屋根の大きさがよくわかります。

 
五箇山・菅沼集落
白川村荻町集落から庄川の20kmほど下流の右岸にある菅沼集落です。集落の全域が重要伝統的建造物群保存地区として歴史的景観が維持され、合掌造り家屋9棟をはじめ土蔵や板倉などの伝統的建物とともに寺社の社業などが保存すべきものとして特定されています。
五箇山・菅沼民家
五箇山の合掌造りは、白川郷の合掌造りと比べると屋根の勾配がやや急になり、妻に庇(ひさし)が付けられています。ここの菅沼集落では合掌造り民家を、当時の暮らしぶりを今に伝える「五箇山民族館」と、古くからこの地域で盛んに行われていた火薬の原料となる塩硝づくりの様子を伝える「塩硝の館」として保存し一般公開しています。
五箇山・相倉集落
菅沼集落から庄川の10kmほど下流の左岸、川面からやや高くなった段丘にある相倉(あいのくら)集落。集落と集落背後の雪持林が重要伝統的建造物群保存地区として歴史的景観が維持され、合掌造り家屋20棟をはじめ寺院や神社、土蔵、板倉などの伝統的建物や雪持林(ゆきもちりん)、神社の社業、畑の石垣、水路、旧道などが保存すべきものとして特定されています。
五箇山・相倉民家
相倉集落では、世界遺産として保存すべきものとして雪持林、畑の石垣、水田などが特定されていますが民家の背後にあるのが雪崩から集落を守る雪持林で、手前にあるのが畑の石垣と水田です。相倉集落の合掌造りの屋根は、急勾配ですが富士山のすそ野のようになだらになっています。
 

写真並びに文は、『平和がいちばん http://heiwa-ga-ichiban.jp/』から転用させて戴きました。
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